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更新日:
2010年9月5日
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◎臭豆腐(ツォウドウフー、ツァウタウフー)
発酵させた豆腐を揚げた料理または、煮た料理。
台湾の夜市などに行くと、かなり遠くからでも、臭豆腐の臭いがします。台湾の屋台を代表する臭いだと言っても良いかもしれません。最初は、この強烈なくさい臭いが嫌で、この屋台だけは避けていました。(その屋台に行かなくても、5~10m先でも、臭いがします。)しかし、食べてみたら、臭くないのです。食べた方が臭くない、というのは不思議な感じですが、あるいは屋台で食べたので、鼻が馬鹿になってしまったのかもしれません。
臭豆腐は、植物の汁と石灰などを混合して、納豆菌と酪酸菌で発酵させた漬け汁に豆腐を一晩ほど浸けこんだものです。豆腐自体は、ほとんど発酵しないのですが、豆腐の表面の植物性タンパク質が、漬け汁の作用で一部、アミノ酸に変化して、独特の風味と強烈な臭気を発するようになるのだそうです。臭豆腐は地域によって使用する漬け汁を含めて製作方法が異なるため、その形や食べ方にもいろいろなバリエーションがあります。
一般的には、揚げ、蒸し、麻辣(マーラー)、炭焼きの4種類の食べ方があり、台湾の名物料理となっています。中でも、油で揚げた臭豆腐が最も一般的で夜市で異臭を放っているのは、この屋台であることが多いと思います。揚げ臭豆腐は、発酵した臭豆腐を直接、熱した油の中に入れ、表面を揚げます。そのあと、4つに切り分け、甘酸っぱいキャベツの酢漬けといっしょに食べます。外側はパリッとして、中はホクホクの特別な食感です。
臭豆腐は、もともと清の時代(1644~1911年)に安徽省で生まれたそうです。康煕帝の8年(1669年)頃、中国の安徽省の王致和という人が北京で科挙の試験を受けたそうです。しかし、彼は試験に落ちてしまったそうです。安徽省に帰るのも大変だったので、北京で商売をしながら生活し、また科挙の試験を受けようと考えたそうです。彼の実家は豆腐屋だったので、彼も豆腐屋を始めようと考えたようです。
そこで、豆腐を作って売り歩いていたようですが、ある時、売れ残った豆腐にカビが生え始めたのだそうです。当時の中国の豆腐は、日本の現在の豆腐とは異なり、水分が少なくて固くて、荒縄でしばって持ち歩けるようなものだったようです。日持ちがするため、作った当日に売り切るようなものではなかったようですが、黴が発生してしまっては商品になりません。そこで王さんは、この豆腐を長持ちさせる方法をいろいろと試したようです。そのうちの1つが、豆腐を賽の目に小さく切って、陰干しして乾かした後、塩辛い漬け汁で漬ける方法でした。
この方法で数日経った豆腐は、酷く臭くて、漬け汁も豆腐も青みがかった灰色になっていたそうです。しかし、臭気の中に良い香りが混じっているのに気付き、試しに食べてみたところ、独特の風味で美味しくなっていたそうです。これが臭豆腐の原形だそうです。
王さんは、その後も科挙の試験に挑戦し続けたようですが、結局、合格することはできなかったそうです。そこで、彼は勉強をやめて商売に打ち込むことにし、臭豆腐の作り方も改良を加えていったようです。
王さんが作った臭豆腐は値段も安く、御飯のおかずに最適ということで、低収入の労働者に大評判になったそうです。そして、その評判が宮廷にまで届くようになり、宮廷に献上されるようになったそうです。皇太后陛下は、この臭豆腐をいたく気に入ったそうですが、名前に品がないことを嘆いて、「青灰色だから、これからは青方と呼びなさい」と言ったそうです。そこで、「御青方」という名前を賜ったそうです。
台湾のほかにも、中国や香港などで食べられているそうですが、台湾では、主に油で揚げて豆板醤のタレをつけて食べる料理か、煮込み料理にすることが多いようです。それ以外にも臭豆腐を細かく切って野菜のみじん切りや調味料を加え、蒸したり揚げたりして食べることもあるようです。屋台では、臭豆腐を串焼きにして売っている店もあります。
現在でも新しい臭豆腐料理が生まれているそうです。例えば、「麻辣臭豆腐」は大量の香辛料と煮込んだ料理です。「臭臭鍋」はアヒルの血と酸菜、豚のモツを臭豆腐といっしょに煮込んだ料理です。台湾に来た際は、是非、一度、臭豆腐を試してみてください。
蒸した臭豆腐です。噛むと、なかなかの香りが口の中に広がります。
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